Windows Server 2016のサポート終了に備える ── 業務アプリとSQL Serverを棚卸しして移行順を決める判断表

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小村 豪(2026)「Windows Server 2016のサポート終了に備える ── 業務アプリとSQL Serverを棚卸しして移行順を決める判断表」合同会社小村ソフト. https://comcomponent.com/blog/windows-server-2016-end-of-support/

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Windows Server 2016 の延長サポートは、2027年1月12日に終わります。この記事を書いている2026年11月から数えると、残りは2か月あまりです。社内のサーバーに Windows Server 2016 が残っていて、その上で業務アプリや SQL Server が動いている会社に向けて、何をどの順番で調べ、どう移すかを決める方法をまとめます。

答えの要点は3つです。まず、サーバーの役割、アプリ、サービス、スケジュールタスク、SQL Server を書き出します。次に SQL Server のバージョンを確かめます。SQL Server 2016 と 2017 は Windows Server 2025 での動作がサポートされていないので、OS だけを上げる計画は組めません。そのうえで、インプレースアップグレード、新しいサーバーへの移行、ESU での一時的な延命から、役割ごとに方法を選びます。

対象は中小企業の社内に置かれた Windows Server 2016 のサーバー(物理・仮想)です。クラスター構成には簡単に触れるだけにします。日付と条件は、2026年11月1日に Microsoft の資料で確かめた内容です。この記事のコマンドは Windows Server でしか動かないもので、Windows Server 2022 の Windows PowerShell 5.1(管理者)で実行して出力を確かめています。

Windows 10 のサポート終了への備えは「Windows 10サポート終了後の現実解」にまとめています。クライアント側と同じく、サーバー側も棚卸しから始めます。

2027年1月12日に終わるもの

Microsoft は Windows Server 2016 の延長サポートの終了日を2027年1月12日としています1。ライフサイクルのページの表では、米国太平洋時間の2027年1月13日午前6時59分59秒が終了時刻として表示されています2。日本時間では2027年1月13日の23時59分59秒です。

終了後は、セキュリティ更新、セキュリティ以外の更新、不具合の修正、技術サポートが提供されなくなります1。Microsoft は移行先として Windows Server 2025 を勧めています1。サーバーが止まるわけではありません。動き続けるが、新しく見つかった脆弱性は修正されない、という状態になります。

Windows Server 2016の延長サポート終了後に起きること2027年1月12日の延長サポート終了後もサーバーは動き続けるが、セキュリティ更新や不具合の修正が届かなくなり、移行するかESUで一時的に延命するかを選ぶことを示す。2027年1月12日 延長サポート終了サーバーは動き続けるセキュリティ更新と修正が届かない新しいOSへ移行するESUで一時的に延命する

図1: 終了後もサーバーは動くが更新は届かず、移行するかESUで一時的に延命するかを選ぶ。

同じサーバーで SQL Server が動いているなら、その期限も合わせて確かめます。ライフサイクルのページの表は、どの製品も終了時刻を米国太平洋時間で翌日の午前6時59分59秒と表示しています。次の表の日付はその前日(Microsoft が終了日として案内する日)です。

製品 延長サポートの終了 ESU
Windows Server 2016 2027年1月12日 2030年まで(最長3年)
SQL Server 2014 2024年7月9日(終了済み) 2027年7月12日まで
SQL Server 2016 2026年7月14日(終了済み) 2029年7月まで(最長3年)
SQL Server 2017 2027年10月12日 ―
SQL Server 2019 2030年1月8日 ―
SQL Server 2022 2033年1月11日 ―

表の出典: 各製品のライフサイクルのページ3と、Windows Server 2016 のESUの資料4。

SQL Server 2016 のサポートは Windows Server 2016 より先に終わっていて、SQL Server 2017 も Windows Server 2016 の9か月後に終わります。OS の移行だけを考えて SQL Server を後回しにすると、すぐに次の移行が必要になります。

図の実線は常に成り立つ関係、破線は条件付きの関係です(成立条件は詳細ページの各関係の説明に記載)。関係すべての一覧(全10件、根拠・確度つき)と主要概念の定義は知識マップ詳細ページにまとめています。データ: JSON-LD / Turtle

ESUは移行が終わるまでの一時的な手段

移行が期限に間に合わないサーバーには、拡張セキュリティ更新(ESU)があります。Windows Server 2016 の ESU は、Azure Arc に接続したサーバーで有効にします4。条件は次のとおりです。

  • 提供されるのは緊急(Critical)と重要(Important)のセキュリティ更新だけで、新しい機能やセキュリティ以外の修正は含まれません。
  • 期間は最長3年、2030年までです。
  • Azure ポータルでの設定は2026年8月3日から始まっていて、課金は2027年1月13日から始まります。
  • 対象は Standard と Datacenter のエディションです。
  • 購入には、Enterprise Agreement などのボリュームライセンスでのソフトウェアアシュアランスが必要です。SPLA やサーバーサブスクリプションでライセンスしているサーバーは、ソフトウェアアシュアランスなしで購入できます。
  • サーバーには Azure Connected Machine エージェントのバージョン 1.62 以降を入れます。

ESU で受けられる技術サポートは、ESU ライセンスの有効化、毎月の更新のインストール、更新が原因の問題の修正に限られます1。アプリが動かなくなったときの調査などは含まれません。

Windows Server 2016のESUを受け取る流れソフトウェアアシュアランスなどの購入条件を満たしたうえで、サーバーをAzure Arcに接続し、ESUライセンスを作成してサーバーに割り当てると、最長3年間、緊急と重要のセキュリティ更新が届くことを示す。ソフトウェアアシュアランスなどサーバーをAzure Arcに接続ESUライセンスを作成して割り当て緊急・重要のセキュリティ更新最長3年 2030年まで

図2: ESUはAzure Arcに接続したサーバーに割り当て、セキュリティ更新だけを受け取る。

Azure の仮想マシンに移す場合、ESU の FAQ は、Azure の仮想マシンでは ESU が無料で提供されると説明しています5。ただし SQL Server 2016 については、Azure の仮想マシンへ移しても ESU は無料にならないと明記されています6。Azure へ移して延命する案を考えるときは、OS と SQL Server の条件を別々に確かめます。

Azureの仮想マシンへ移したときのESUの条件Azureの仮想マシンへ移す場合、ESUのFAQは仮想マシンでESUが無料で提供されると説明する一方、SQL Server 2016は仮想マシンへ移してもESUが無料にならないと明記されているため、OSとSQL Serverの条件を別々に確かめることを示す。Azureの仮想マシンへ移すESUのFAQ 仮想マシンでは無料SQL Server 2016 無料にならないOSとSQL Serverの条件を別々に確かめる

図3: Azureへ移すときは、OSとSQL ServerのESUの条件を分けて確かめる。

ESU は移行の作業期間を確保するために使います。ESU を入れても、移行の作業そのものは減りません。終わりの時期を決めずに ESU を続けると、その間は課金が続き、2030年に ESU が終わるときに同じ判断がもう一度必要になります。

棚卸しは役割から始める

移行の方法を決める前に、サーバーで何が動いているかを書き出します。順番は次のとおりです。

  1. サーバーの役割と機能(ファイルサーバー、ドメインコントローラー、IIS など)
  2. インストールされているアプリ、サービス、スケジュールタスク
  3. アプリが依存しているもの(.NET Framework、ドライバー、32bit の部品、ライセンス)
  4. SQL Server のバージョン、エディション、データベースの互換性レベル
  5. バックアップの取り方と、戻せるかどうか
Windows Server 2016の棚卸しの順番役割と機能、アプリとサービスとタスク、アプリの依存、SQL Serverのバージョンと互換性レベル、バックアップと復元の確認の順に棚卸しし、その結果から移行方法を選ぶことを示す。役割と機能アプリ・サービス・タスクアプリの依存SQL Serverのバージョンと互換性レベルバックアップと復元の確認移行方法を選ぶ

図4: 役割から始めて、SQL Serverとバックアップまで調べてから移行方法を選ぶ。

役割を最初に調べるのは、役割によって移行の方法が決まるからです。たとえばドメインコントローラーは、インプレースアップグレードを使わずに、新しいサーバーを昇格させて古いサーバーを降格させるよう Microsoft が勧めています7。

次のコマンドは管理者として開いた PowerShell で実行します。どれも Microsoft の資料に載っている書き方に合わせています。

# 1. インストールされている役割と機能
Get-WindowsFeature | Where-Object Installed |
    Select-Object Name, DisplayName |
    Export-Csv -Path .\roles-features.csv -NoTypeInformation -Encoding UTF8

# 2. インストールされているアプリ(64bitと32bitの両方)
$paths = 'HKLM:\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Uninstall\*',
         'HKLM:\SOFTWARE\WOW6432Node\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Uninstall\*'
Get-ItemProperty -Path $paths -ErrorAction SilentlyContinue |
    Where-Object DisplayName |
    Select-Object DisplayName, DisplayVersion, Publisher, InstallDate, PSPath |
    Sort-Object DisplayName |
    Export-Csv -Path .\installed-apps.csv -NoTypeInformation -Encoding UTF8

# 3. サービス(実行ファイルのパスと実行アカウント)
Get-CimInstance -ClassName Win32_Service |
    Select-Object Name, DisplayName, StartMode, State, StartName, PathName |
    Export-Csv -Path .\services.csv -NoTypeInformation -Encoding UTF8

# 4. Microsoft以外のフォルダーにあるスケジュールタスク
Get-ScheduledTask |
    Where-Object TaskPath -notlike '\Microsoft\*' |
    Select-Object TaskPath, TaskName, State |
    Export-Csv -Path .\scheduled-tasks.csv -NoTypeInformation -Encoding UTF8

# 5. .NET Framework 4.x のRelease値
Get-ItemPropertyValue -LiteralPath 'HKLM:SOFTWARE\Microsoft\NET Framework Setup\NDP\v4\Full' -Name Release

Get-WindowsFeature はサーバーで使える機能と入っている機能を返すので8、Where-Object Installed で入っているものだけに絞ります。

アプリの一覧はアンインストール情報のレジストリキーから読みます9。64bit の Windows では 32bit のアプリの情報が WOW6432Node の下に置かれるので10、両方を読みます。PSPath の列を見れば、どちらから読んだ行かが分かります。32bit のアプリは、新しいサーバーでも 32bit の部品(COM や ODBC ドライバーなど)がそろうかを確かめる対象です。

アプリの一覧を Win32_Product クラスで取る方法は使いません。Microsoft は、このクラスを照会すると Windows Installer が製品を構成し直したというイベント(ID 1035)が記録され、起動やログオンが遅くなることがあると説明しています11。

サービスの PathName と StartName からは、実行ファイルの場所と実行アカウントが分かります12。業務アプリのサービスが専用のアカウントで動いているなら、移行先でも同じ権限を用意します。スケジュールタスクは \Microsoft\ の下にない自作のものを書き出します13。夜間のバッチやほかのシステムとの連携処理が登録されていれば、移行先にも同じタスクが要ります。

.NET Framework 4.x のバージョンは Release の値で分かり、たとえば 528040 以上なら .NET Framework 4.8 以降です14。

アプリごとに、次の4つの依存を確かめます。

業務アプリごとに確かめる依存業務アプリについて、.NET Frameworkのバージョン、装置や帳票のドライバー、32bitのCOMやODBCドライバーなどの部品、アプリと新しいOSのライセンスの4つを確かめ、そろわないものが移行の条件になることを示す。業務アプリ.NET Frameworkのバージョン装置・帳票のドライバー32bitのCOMやODBCアプリとOSのライセンスそろわないものが移行の条件になる

図5: アプリごとに4つの依存を確かめ、新しいサーバーでそろわないものを洗い出す。

ライセンスは見落としやすい項目です。Windows Server は、アップグレードのたびに新しいバージョンのライセンスが要ります15。クライアントアクセスライセンス(CAL)や、業務アプリ側のライセンスが新しいサーバーに移せるかも、購入先やアプリの提供元に確認します。アプリの提供元のサポートが切れている場合は、「保守契約が切れた業務アプリをどうするか」の判断表も使えます。

SQL Serverのバージョンを先に確かめる

サーバーに SQL Server が入っているなら、移行方法を決める前にバージョンを確かめます。SQL Server のバージョンによって、移行先にできる Windows Server のバージョンが限られるからです。

Microsoft の SQL Server と Windows の対応表では、Windows Server 2025 で動作がサポートされるのは SQL Server 2019、2022、2025 です。SQL Server 2016 と 2017 はサポートされていません。Windows Server 2022 では、SQL Server 2017 から 2025 がサポートされ、SQL Server 2016 はサポートされていません16。

SQL Serverのバージョンと移行先のWindows ServerSQL Server 2016はWindows Server 2022と2025でサポートされず、SQL Server 2017はWindows Server 2025でサポートされないため、OSだけを上げる前にSQL Serverのバージョンを決める必要があり、SQL Server 2019以降ならWindows Server 2025で動作がサポートされることを示す。サポート外サポート外サポート外サポートSQL Server 2016Windows Server 2022Windows Server 2025SQL Server 2017SQL Server 2019 以降

図6: SQL Server 2016と2017のままでは、Windows Server 2025へOSだけを上げられない。

いまのバージョンとエディションは、SQL Server Management Studio などから次のクエリで確かめます。このクエリは SQL Server 2016 SP3 の Express LocalDB で実行して確かめています。

SELECT SERVERPROPERTY('ProductVersion') AS ProductVersion,
       SERVERPROPERTY('ProductLevel')   AS ProductLevel,
       SERVERPROPERTY('Edition')        AS Edition;

SELECT name, compatibility_level, recovery_model_desc
FROM sys.databases;

ProductVersion はバージョン番号、ProductLevel は RTM やサービスパックのレベル、Edition はエディションを返します17。sys.databases の compatibility_level は、各データベースの互換性レベルです18。互換性レベル 130 は SQL Server 2016、140 は 2017、150 は 2019、160 は 2022 の既定値です19。

SQL Server 2016 から SQL Server 2022 へは、SQL Server 2016 SP3 以降であればアップグレードできます20。データベースを新しいサーバーの SQL Server 2022 へ復元した場合、互換性レベルは元の値のまま残ります19。クエリの実行計画が変わるのは、互換性レベルを上げたときです。

Microsoft は互換性レベルを上げるときの手順として、クエリストアを使う方法を勧めています21。

  1. 互換性レベルを変えずに SQL Server を新しいバージョンにする。
  2. クエリストアを有効にする。
  3. 業務の一巡りの間、元の互換性レベルのままクエリと実行計画を記録し、基準にする。
  4. 互換性レベルを新しいバージョンのものに上げる。
  5. 遅くなったクエリをクエリストアで探し、以前の実行計画を強制する。直らなければ互換性レベルを戻す。
SQL Serverを新しいバージョンにしてから互換性レベルを上げる手順互換性レベルを変えずにSQL Serverを新しいバージョンにし、クエリストアで基準を記録してから互換性レベルを上げ、遅くなったクエリには以前の実行計画を強制し、直らなければ互換性レベルを戻すことを示す。互換性レベルはそのままバージョンを上げるクエリストアを有効にする業務の一巡りで基準を記録互換性レベルを上げる遅くなったクエリを探す以前の実行計画を強制直らなければレベルを戻す

図7: バージョンの更新と互換性レベルの変更を分け、間にクエリストアで基準を取る。

OS の移行と SQL Server のバージョンの更新を同じ日に行う場合でも、互換性レベルの変更は後に回せます。移行の当日に変える項目が減るので、問題が出たときに原因を絞り込みやすくなります。

役割ごとに移行方法を選ぶ

棚卸しの結果から、サーバーごと、役割ごとに移行方法を選びます。選択肢は同じサーバーの OS を上げるインプレースアップグレード、新しいサーバーを用意して移す移行、Azure の仮想マシンへの移行、ESU での一時的な延命の4つです。

サーバーの状況 移行方法の候補 理由
ドメインコントローラー 新しいサーバーを昇格させ、古いサーバーを降格する Microsoft がインプレースアップグレードを使わないよう勧めている7
SQL Server 2016 / 2017 が同居している 新しいサーバーに SQL Server 2022 などを入れて移す Windows Server 2025 では SQL Server 2016 / 2017 がサポートされない16
業務アプリの新しいOSでのサポートが確認できない 試験用の複製で動作を確かめてから決める。間に合わなければ ESU で期限を延ばす サポートの確認がないまま本番のOSを上げると戻しにくい
ファイルサーバーなど役割が単純で、アプリのサポートも確認できた インプレースアップグレードも候補 設定とデータを残したままバージョンを上げられる15
サーバー機器も古く、更新したい 新しいサーバーか Azure の仮想マシンへ移す 新しいOSのハードウェア要件を満たさないことがある22
移行方法を選ぶ流れドメインコントローラーなら新しいサーバーを昇格させ、SQL Server 2016か2017が同居していれば新しいサーバーへSQL Serverごと移し、アプリのサポートが確認できなければ試験してから決め、それ以外で役割が単純ならインプレースアップグレードも候補になることを示す。はいいいえはいいいえいいえはいドメインコントローラー?新しいサーバーを昇格SQL Server 2016/2017?新しいサーバーへ移すアプリのサポートを確認済み?複製で試験してから決めるインプレースアップグレードも候補

図8: 役割とSQL Serverとアプリのサポートの順に確かめて、移行方法を絞る。

インプレースアップグレードを選ぶ場合は、上げられるバージョンを確かめます。インストールメディアを使うと、Windows Server 2016 からは 2019、2022、2025 へ上げられます。Windows Update の機能更新で 2025 へ上げる方法は、Windows Server 2019 と 2022 だけが対象で、2016 からは使えません15。クラスターを構成しているサーバーにはインプレースアップグレードは使えず、クラスターのローリングアップグレードで1つずつバージョンを上げます715。

Windows Server 2016からのインプレースアップグレードの経路Windows Server 2016からはインストールメディアで2019、2022、2025へ上げられ、Windows Updateの機能更新で2025へ上げる方法は2019と2022だけが対象であることを示す。インストールメディアインストールメディアインストールメディアWindows UpdateWindows UpdateWindows Server 2016Windows Server 2019Windows Server 2022Windows Server 2025

図9: 2016からはインストールメディアで上げる。Windows Updateでの更新は2019と2022が対象。

同じ機器のまま Windows Server 2025 へ上げる場合は、CPU が要件を満たすかも確かめます。Windows Server 2025 は、SSE4.2 と POPCNT 命令、第2レベルのアドレス変換(EPT または NPT)などに対応した 64bit の CPU を求めています。CPU の対応は Sysinternals の Coreinfo で確かめられます22。

本番の前に複製で試す

どの方法を選んでも、本番のサーバーで初めて試すことは避けます。Microsoft はインプレースアップグレードの前提として、OS・アプリ・データを含む完全なバックアップを取り、復元できることを試しておくよう求めています7。

移行前の試験の流れ完全なバックアップを取り、試験用の仮想マシンへ復元して戻せることを確かめ、その複製で移行やアップグレードを行い、業務を一巡させて確かめてから本番の切り替え日を決めることを示す。問題あり完全なバックアップ試験用の仮想マシンへ復元複製で移行・アップグレード業務を一巡させて確かめる本番の切り替え日を決める原因を直して再試験

図10: バックアップから作った複製で移行を試し、業務を一巡させてから本番に進む。

複製では次の点を確かめます。

  • 業務アプリが起動し、普段の操作が一通りできるか
  • 帳票の印刷、装置との通信、ほかのシステムとの連携が動くか
  • スケジュールタスクとサービスが、移行前と同じアカウントと権限で動くか
  • SQL Server を使うアプリなら、月末処理など重い処理の時間が変わらないか

インプレースアップグレードの手順書は、アップグレードの前に診断情報を保存しておくよう勧めています7。失敗したときに、元の状態を調べられるようにするためです。

Get-ComputerInfo -Property WindowsBuildLabEx,WindowsEditionID | Out-File -FilePath .\computerinfo.txt
systeminfo.exe | Out-File -FilePath systeminfo.txt
ipconfig /all | Out-File -FilePath ipconfig.txt

保存したファイルはアップグレードするサーバーの外(ネットワーク上の場所や USB メモリ)に置きます。バックアップの設計については、並行して書いている「ランサムウェアに耐えるバックアップ」も参考にしてください。

期限から逆算して決める順番

2026年11月の時点で、2027年1月12日までの時間は限られています。全部のサーバーを期限までに移せない場合は、移す順番を決めて、残るサーバーに ESU を使います。

期限までに決める順番棚卸しを終え、サーバーごとに移行方法を決め、期限までに移せるサーバーから試験と移行を進め、間に合わないサーバーにはESUを用意して移行の完了時期を決めることを示す。はいいいえ棚卸しを終えるサーバーごとに方法を決める1月12日までに移せる?試験して移行するESUを用意する移行の完了時期を決める

図11: 期限に間に合うサーバーから移し、間に合わないものはESUと完了時期を組にする。

ESU を使うサーバーにも移行の完了時期を決めておきます。Azure Arc の ESU は使っている間は課金が続き4、期間も最長で2030年までです。ESU の設定は2026年8月から始まっているので、購入条件(ソフトウェアアシュアランスなど)を満たしているかは早めに確かめます。

サーバーで動く業務アプリが古く、移行先のOSで動かすために改修が必要な場合もあります。.NET Framework のアプリを新しい .NET へ移すかどうかは「.NET Frameworkから.NETへの移行前チェックリスト」、VB6 や Access のアプリは「VB6 / Access業務アプリの延命と移行」で判断の材料をまとめています。

関連記事

参考リンク

  1. Microsoft Tech Community, Plan for Windows Server 2016 and Windows 10 2016 LTSB end of support. Windows Server 2016 のサポート終了日、終了後に提供されなくなるもの、ESU に含まれるものと含まれないもの。 ↩ ↩2 ↩3 ↩4

  2. Microsoft Learn, Windows Server 2016 - Microsoft Lifecycle. 固定ライフサイクルポリシーと、米国太平洋時間で表示された延長サポートの終了時刻。 ↩

  3. Microsoft Learn, SQL Server 2014、SQL Server 2016、SQL Server 2017、SQL Server 2019、SQL Server 2022 の各ライフサイクルのページ。延長サポートの終了時刻と ESU の期間。 ↩

  4. Microsoft Learn, Prepare to deliver Extended Security Updates for Windows Server through Azure Arc. Windows Server 2016 の ESU の期間、更新の種類、設定と課金の開始日、対象エディション、購入条件、エージェントのバージョン。 ↩ ↩2 ↩3

  5. Microsoft Learn, Product Lifecycle FAQ - Extended Security Updates. Azure 上の仮想マシンでは ESU が無料で提供されること。 ↩

  6. Microsoft Learn, What are Extended Security Updates for SQL Server?. SQL Server 2016 では Azure の仮想マシンへ移しても ESU が無料にならないこと。 ↩

  7. Microsoft Learn, Upgrade Windows Server in Place. 完全なバックアップと復元の試験、クラスターでは使えないこと、ドメインコントローラーには使わないこと、アップグレード前に保存する診断情報。 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5

  8. Microsoft Learn, Get-WindowsFeature. ↩

  9. Microsoft Learn, Windows Installer Properties for the Uninstall Registry Key. ↩

  10. Microsoft Learn, Registry Redirector. 32bit のアプリ向けのキーが Wow6432Node の下に置かれること。 ↩

  11. Microsoft Learn, Windows Installer reconfigured all applications. Win32_Product を照会するアプリやWMIフィルターが、起動やログオンの遅れとイベントID 1035の原因になること。 ↩

  12. Microsoft Learn, Win32_Service class. ↩

  13. Microsoft Learn, Get-ScheduledTask. ↩

  14. Microsoft Learn, Determine which .NET Framework versions are installed. Release の値と .NET Framework のバージョンの対応。 ↩

  15. Microsoft Learn, Plan Your Windows Server Upgrade Path. インプレースアップグレードで残るもの、バージョンごとの経路、Windows Update で上げられるバージョン、アップグレードごとに新しいライセンスが要ること。 ↩ ↩2 ↩3 ↩4

  16. Microsoft Learn, Version Requirements for SQL Server in Windows Operating System. SQL Server のバージョンと Windows のバージョンの対応表。 ↩ ↩2

  17. Microsoft Learn, SERVERPROPERTY (Transact-SQL). ↩

  18. Microsoft Learn, sys.databases (Transact-SQL). ↩

  19. Microsoft Learn, ALTER DATABASE Compatibility Level (Transact-SQL). バージョンごとの既定の互換性レベルと、復元したデータベースが元の互換性レベルを保つこと。 ↩ ↩2

  20. Microsoft Learn, Supported Version and Edition Upgrades (SQL Server 2022). SQL Server 2022 へアップグレードできるバージョン。 ↩

  21. Microsoft Learn, Query Store Usage Scenarios. 新しいバージョンへのアップグレードで性能を保つための手順。 ↩

  22. Microsoft Learn, Hardware requirements for Windows Server. CPU に求められる命令と、Coreinfo での確認。 ↩ ↩2

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よくある質問

この記事のテーマについて、相談時によくある質問をまとめています。

Windows Server 2016のサポートはいつ終わりますか?
延長サポートは2027年1月12日に終わります。Microsoftのライフサイクルのページでは、米国太平洋時間の2027年1月13日午前6時59分59秒が終了時刻として表示されています。終了後はセキュリティ更新、セキュリティ以外の更新、不具合の修正、技術サポートが提供されなくなります。
Windows Server 2016にもESUはありますか?
あります。Azure Arcに接続したサーバーで、最長3年間(2030年まで)、緊急・重要のセキュリティ更新を受け取れます。購入にはボリュームライセンスのソフトウェアアシュアランスなどが必要で、課金は2027年1月13日から始まります。新しい機能やセキュリティ以外の修正は含まれず、移行するまでの一時的な手段です。
SQL Server 2016が入ったサーバーをWindows Server 2025にインプレースアップグレードしてよいですか?
勧めません。MicrosoftのSQL ServerとWindowsの対応表では、SQL Server 2016とSQL Server 2017はWindows Server 2025での動作がサポートされていません。SQL Server 2016は延長サポートもすでに2026年7月に終わっています。SQL Server 2022などに上げる計画と合わせて、新しいサーバーへ移す方法を検討します。
インプレースアップグレードと新しいサーバーへの移行はどちらがよいですか?
役割とアプリで決めます。ドメインコントローラーは、Microsoftがインプレースアップグレードを使わずに新しいサーバーを昇格させるよう勧めています。SQL Server 2016やサポートの切れたアプリが同居しているサーバーも、新しいサーバーへ移すほうが組み合わせを選べます。単純なファイルサーバーなどで、使っているアプリのサポートが新しいOSで確認できるなら、バックアップと復元の確認をしたうえでインプレースアップグレードも候補になります。

著者プロフィール

記事の著者プロフィールページです。

小村 豪

合同会社小村ソフト 代表

Windows ソフト開発、技術相談、不具合調査を中心に、既存資産が残る案件や原因が見えにくい障害調査に強みがあります。

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