Word マニュアル作成の応用編 - 画像・図・スクリーンショット配置のダメなパターンとベストプラクティス

· · Word, マニュアル作成, 図版設計, スクリーンショット, アクセシビリティ

前回の記事では、見出し、段落、目次、番号、相互参照といった Word の基本 を整理しました。
今回はその続きとして、マニュアルの品質を大きく左右する 画像・図・スクリーンショットの扱い を、ダメなパターンとベストプラクティスを並べながら整理します。

画像は、文章より直感的に伝わる反面、Word 文書では事故の起点にもなりやすい要素です。
貼ってドラッグすればその場では整って見えますが、

  • 本文が 1 段落増えただけで図の位置がずれる
  • 図番号を手で直す運用になって改訂コストが増える
  • トリミングしたはずの領域が実はファイル内に残っている
  • 図と説明が別ページに分かれて読みにくくなる
  • PDF 配布時に代替テキストや読み上げ順が崩れる

といった問題が起こります。

前提は、主形式を .docx にした Word デスクトップ版中心 の運用です。
Web 版でも基本編集はできますが、画像の回り込みや位置固定まわりはデスクトップ版のほうが扱いやすいです(参考: 2, 3)。

目次

  1. まず結論
  2. 画像・図が入ると Word 文書が崩れやすくなる理由
  3. ダメなパターンとベストプラクティスの一覧
  4. 画像・図配置の考え方
  5. Word での具体的なやり方
  6. テンプレートに固定したいルール
  7. 配布前チェックリスト
  8. まとめ
  9. 参考資料

1. まず結論

先に結論だけ並べると、画像や図を使うマニュアルでは次の 6 点が重要です。

  1. 既定は [行内] にする
    Word での画像配置は、原則として 行内 を基本にします。段落として扱えるので、改訂に強くなります。

  2. 画像は初出の直後に置く
    本文で触れた内容から離れた位置に図を置かないこと。読み手が視線を行ったり来たりしなくて済みます。

  3. スクリーンショットは必要範囲だけ見せる
    画面全体を毎回貼るのではなく、見せたい箇所だけ切り抜きます。
    「1 枚で 1 メッセージ」が基本です。

  4. 図番号と参照は自動化する
    図番号はキャプション機能、本文中の参照は相互参照で入れます。
    上図 下図 画像 1 の手打ちはやめます。

  5. 回り込みは例外運用にする
    [四角形][ページ上で位置を固定] は便利ですが、アンカーを理解せずに使うと崩れやすいです。
    レイアウト目的が明確なときだけ使います。

  6. 配布前に容量・アクセシビリティまで確認する
    トリミング領域の削除、画像圧縮、代替テキスト、アクセシビリティ チェックまで含めて仕上げます。

2. 画像・図が入ると Word 文書が崩れやすくなる理由

Word は、段落 を中心にした文書編集にはとても強い一方で、浮動するオブジェクト が増えると一気に不安定になりやすくなります。

本文だけで構成された文書であれば、見出し、段落、箇条書き、改ページをきちんと設定していれば、大きく崩れることはあまりありません。
ところが、画像を入れた瞬間に次のような要素が増えます。

  • 画像そのものの位置
  • 本文との距離
  • 回り込みの種類
  • アンカーの位置
  • キャプションとの関係
  • ページをまたぐときの扱い
  • 圧縮やトリミング後のデータ管理
  • PDF 化したときの読み上げやタグ

つまり、画像は「見た目」だけの問題ではなく、構造・参照・配布品質 の問題でもあります。

そのため、画像・図の扱いでは「綺麗に見えるか」だけでなく、次の 3 点を同時に満たす必要があります。

  • 崩れにくいこと
  • 改訂しやすいこと
  • 読み手に伝わること

この 3 つを満たす最短ルートが、行内配置を基本にして、必要なものだけ例外的に浮動配置にする という考え方です(参考: 1, 2, 3)。

3. ダメなパターンとベストプラクティスの一覧

項目 ダメなパターン ベストプラクティス
挿入の基本 貼った直後にドラッグして見た目だけ整える 原則は [行内] にして段落として扱う
置き場所 図を章末やページ末にまとめる 初出の直後に置く
スクリーンショット範囲 毎回画面全体を貼る 必要範囲だけ切り抜く
サイズ その場しのぎで拡大・縮小する フル幅 / 中サイズ / 小サイズの型を決める
回り込み 何となく [四角形] にする 回り込みは例外運用、アンカーを理解して使う
図番号 画像1 図3 を手打ちする キャプションで自動採番する
参照 上図 下の画像 と書く 相互参照で 図 3-2 を入れる
注釈図 吹き出しや矢印をバラバラに置く なるべく 1 枚の完成図にまとめる。必要ならグループ化する
改ページ 図とキャプションが別ページに分かれる 段落設定で同じページに保つ
トリミング 見えなくしただけで安心する 不要領域を削除してから配布する
容量 大きい画像を無制限に貼る 圧縮と解像度を管理する
アクセシビリティ 代替テキストなし、最終確認なし 代替テキスト、装飾マーク、アクセシビリティ チェックを使う

4. 画像・図配置の考え方

4.1 画像は「飾り」ではなく本文の一部として扱う

マニュアルで使う図やスクリーンショットは、雰囲気づくりの飾りではありません。
基本は、本文の説明を補強する情報 です。

だからこそ、画像の前後には次の関係が必要です。

  • 本文で「何を見るべきか」を先に言う
  • 画像でそれを確認させる
  • 必要なら画像の直後に補足を書く

逆に、画像だけを貼って「下図参照」で済ませると、読み手は何に注目すればいいか分からなくなります。

実務では、次の考え方がかなり有効です。

  • 1 枚で 1 メッセージ
  • 1 セクションで見せたいことを増やしすぎない
  • 本文で説明しない図は置かない

スクリーンショットが多い文書ほど、この原則で情報密度を下げると読みやすくなります。

4.2 既定は [行内]。まずは段落として扱う

Word では、新しい画像を挿入または貼り付けしたとき、既定で 行内 として扱われます。
行内 の画像は、挿入位置に結び付けられ、テキスト文字のように扱われます。
一方、四角形 などの回り込みを使った画像は、段落に関連付いたアンカーを持つ浮動オブジェクトになります(参考: 1, 2, 3)。

マニュアルで 行内 を既定にしたほうがいい理由は単純で、改訂に強いから です。

  • 本文が増減しても、画像が段落と一緒に動く
  • 画像を段落単位で中央揃えできる
  • ページ送りの影響が読みやすい
  • アンカーや重なり順の事故が起きにくい

特別なレイアウト理由がない限り、まずは [行内] + 中央揃え + キャプション の型で十分です。

4.3 画像は「初出の直後」に置く

画像を読みやすくする一番簡単な方法は、本文と離さないこと です。

ダメな例はこうです。

  • 説明は 2 ページ前にある
  • 画像はページ末に追いやられている
  • 図の番号だけ本文にある
  • 読み手が何度も前後ページを往復する

ベストなのは、最初にその図へ言及した段落の直後 に置くことです。

たとえば、

[通知設定] を開き、右上の [配信条件] を選択します。設定対象は図 3-2 の赤枠部分です。

と書いたなら、そのすぐ下に図 3-2 がある状態が理想です。

「図はまとめて後ろに載せる」方式は、資料集には向いても、操作マニュアルにはあまり向きません。

4.4 スクリーンショットは「切り抜き」で見やすさが決まる

実務でよくあるのが、フル HD や 4K の画面全体をそのまま貼ってしまうパターンです。
このやり方だと、読み手に見せたいボタンや入力欄が小さくなり、かえって分かりにくくなります。

スクリーンショットで大事なのは、どこを見せるか です。

具体的には、次の順で考えると整理しやすくなります。

  1. この図で伝えたいのはどの操作か
  2. その操作に不要な領域はどこか
  3. 同じ画面を次の図でも使うなら、今回見せる範囲は最小でよいか
  4. 比較図なら、切り抜く範囲と倍率を揃えるべきか

特に重要なのが、トリミングしただけでは削除にならない という点です。
Word / Office では、既定ではトリミングした領域がファイル内に残るため、必要に応じて削除処理まで行う必要があります(参考: 4, 5)。

4.5 比較図と注釈図は「1 枚の完成図」に寄せる

応用編で強くおすすめしたいのが、比較図や注釈図を Word 上の複数オブジェクトで抱えすぎない ことです。

よくあるダメなパターンは次のようなものです。

  • 元画像 1 枚
  • 吹き出し 3 個
  • 矢印 5 本
  • テキスト ボックス 4 個
  • さらに別のキャプション

この状態になると、どれかを少し触っただけで全体の位置関係が崩れやすくなります。

ベストプラクティスは 2 つあります。

  1. 可能なら注釈済みの完成図を 1 枚の画像として挿入する
  2. Word 内で作る場合も、最終的にはグループ化して 1 単位として扱う

特に before / after の比較は、2 枚を別々に並べて 2 つのキャプションを付けるより、
A: 変更前 B: 変更後 を含んだ 1 枚の比較図 にして、図 4-1 として扱ったほうが、本文から参照しやすくなります。

5. Word での具体的なやり方

5.1 一番崩れにくい「スクリーンショット 1 枚」の型

まずは、もっとも事故が少ない基本形からです。
操作マニュアルの 8 割くらいは、この型で十分です。

手順

  1. 画像を挿入する、またはスクリーンショットを貼り付ける
  2. 画像を選択して [レイアウト オプション] から [行内] を選ぶ
  3. 画像が入った段落を中央揃えにする
  4. [図の形式] から [トリミング] を使って、必要範囲だけに絞る
  5. 画像の直下にキャプションを入れる
  6. 空行ではなく、段落の前後間隔で余白を作る
  7. 本文側では相互参照で図番号を入れる
  8. 画像段落とキャプション段落を同じページに保つ

この型が強い理由

  • 画像が段落に結びつく
  • 中央揃えが安定する
  • 図番号が自動管理できる
  • 参照先がずれにくい
  • 編集者が変わっても壊れにくい

「とりあえず貼ってドラッグする」より少し手間に見えますが、改訂時の差がかなり出ます。

5.2 回り込み配置を使うときは、アンカー前提で運用する

[四角形][上下][ページ上で位置を固定する] を使うと、本文の横や特定位置に図を置けます。
ただし、この運用は 段落と結び付いた浮動オブジェクト になるので、行内 より注意が必要です(参考: 2, 3)。

回り込みを使うのが向く場面

  • タイトルページの装飾図
  • 余白寄せの小図やアイコン
  • 図と本文を左右に見せたいレイアウト
  • Word 内で注釈図を一時的に組み立てるとき

手順

  1. 画像を選択する
  2. [レイアウト オプション] で回り込みの種類を選ぶ
    例: [四角形], [上下]
  3. ページの決まった位置に置きたい場合は [ページ上で位置を固定する] を使う
  4. 本文の増減に合わせて動かしたい場合は、ページ固定ではなく本文に追従する配置を選ぶ
  5. [ホーム] > [表示/非表示 ¶] で編集記号を出すか、[ファイル] > [オプション] > [表示] > [オブジェクト アンカー] をオンにして、アンカーを見える状態にする
  6. 位置関係を固定したい場合は [レイアウト オプション] > [詳細を表示] > [アンカーのロック] を使う(参考: 3)

注意点

  • 回り込みを使うと、図は「このページ」ではなく「この段落」に結び付くことが多い
  • 本文を増減したとき、見た目の位置関係が変わることがある
  • 画像が多い手順書では、使いすぎると保守が難しくなる

なので、回り込みは例外運用 と考えたほうが安全です。

5.3 スクリーンショットを見せたい範囲だけにする

スクリーンショットの質は、画像そのものより 切り抜き方 で決まります。

ダメなパターン

  • 画面全体を貼って、見せたいボタンが小さい
  • 比較図なのに左右で拡大率が違う
  • 個人名やメールアドレスが映り込んでいる
  • トリミングだけして、元データを消していない

ベストプラクティス

  • 1 図 1 メッセージに絞る
  • 見せたい範囲だけ切る
  • 比較図は切り抜き範囲と倍率を揃える
  • 機密情報は見えなくするだけでなく、必要に応じて削除する

手順

  1. 画像を選択する
  2. [図の形式] > [トリミング] を選ぶ
  3. 不要部分を削って、操作対象が十分読めるサイズまで絞る
  4. 比較図なら、必要に応じて [トリミング] > [縦横比] を使って比率を揃える
  5. 配布前に [図の形式] > [画像の圧縮] を開く
  6. [図のトリミング部分を削除する] をオンにする(参考: 4, 5)

実務上のコツ

  • ボタンや入力欄を見せたいだけなら、画面全体は不要
  • 図を小さくするより、先に切り抜く
  • 判読できないまで縮小するくらいなら、次ページに回したほうがいい

5.4 注釈入り図を作る方法は 2 通りある

注釈入り図は分かりやすい反面、Word では壊れやすい領域でもあります。
ここはやり方を最初に決めておくのが重要です。

方法 A: 注釈込みの完成図を 1 枚の画像として挿入する

こちらが第一推奨です。

向いているケース

  • 吹き出しや矢印が多い
  • before / after を 1 枚で見せたい
  • PDF 配布まで含めて崩れにくさを優先したい

利点

  • Word 上では 1 オブジェクトで済む
  • 図番号も 1 つで管理できる
  • 相互参照しやすい
  • 他の編集者が触っても事故りにくい

方法 B: Word の中で図形と画像を組み合わせて作る

Word 内で注釈を付けること自体は可能です。
ただし、複数オブジェクトのまま放置しないことが重要です。

手順

  1. 元画像を挿入する
  2. 注釈を重ねる都合上、画像の回り込みを 行内 以外に変更する
  3. 矢印、吹き出し、テキスト ボックスを追加する
  4. Ctrl を押しながら各オブジェクトを選択する
  5. [図の形式] または [図形の書式] > [グループ] > [グループ化] を使う(参考: 16, 17)
  6. 複数オブジェクトの位置を揃えたいときは [配置] を使う(参考: 16)

さらに重要な注意

  • オブジェクトのグループ化には、各オブジェクトが 行内 以外である必要があります(参考: 17)
  • 浮動オブジェクトにキャプションを付けて、それごと一緒に動かしたい場合は、先にレイアウトを決めてからキャプションを入れる 必要があります(参考: 6)

つまり、Word 内で注釈図を作るなら、

  1. 画像を浮動配置にする
  2. 注釈を足す
  3. 必要に応じてキャプションを追加する
  4. グループ化する

という順序で進めたほうが事故が少ないです。

5.5 図番号・章番号・相互参照を連動させる

画像の扱いで手作業が残りやすいのが、図番号と本文からの参照 です。
ここを自動化すると、改訂のたびに効いてきます。

図番号の入れ方

  1. 画像を選択する
  2. [参照] または [参考資料] から [キャプションの挿入] / [図表番号の挿入] を選ぶ
  3. ラベルを にする
  4. 必要なら説明文を入れる
    例: 管理画面の通知設定
  5. 文書全体で章番号を使っているなら、番号付け から 章番号を含める を設定する(参考: 6, 7, 8)

本文からの参照の入れ方

  1. 本文中で参照文を書く
    例: 詳細は図
  2. [挿入] > [相互参照] を開く
  3. 参照の種類で を選ぶ
  4. 対象の図を選ぶ
  5. 必要なら [ハイパーリンクとして挿入] をオンにする(参考: 9)

この運用で避けられること

  • 上図 下図 の崩れ
  • 図の追加時の手修正
  • ページ移動後の参照ずれ
  • PDF 化後のリンク切れ

相互参照はフィールドとして挿入されるので、配布前には更新が必要です。
文書全体なら Ctrl + A のあと F9 で一括更新できます(参考: 9, 10)。

5.6 図・キャプション・説明を同じページに保つ

読みにくい文書でよくあるのが、

  • ページ末に図だけある
  • 次ページの先頭にキャプションがある
  • キャプションの次に説明がまた別の位置にある

という分断です。

これを防ぐには、改ページ設定を段落側で持つ のが基本です。

おすすめのまとまり方

  • 画像段落
  • キャプション段落
  • 1 文の補足説明
  • 本文続き

手順

  1. 画像が入っている段落を選ぶ
  2. 右クリックして [段落] を開く
  3. [改行と改ページ] または同等のタブを開く
  4. 画像段落に 次の段落と分離しない を設定する
  5. キャプション段落にも必要に応じて 次の段落と分離しない を設定する
  6. キャプションが複数行になるなら、必要に応じて 段落を分割しない行をまとめて保持 も使う(参考: 11)

やってはいけないこと

  • 空行を何個も入れて調整する
  • 画像が入らないからといって極端に小さく縮小する
  • キャプションだけを残して図を次ページへ送る

図が大きくて収まらないなら、図ブロック全体を次ページへ送る ほうが読みやすいです。

5.7 容量と機密情報を管理する

応用編ではここも外せません。
図の配置がきれいでも、ファイルが重すぎたり、見えないはずの情報が残っていたりすると実務では困ります。

容量面の基本

  • 必要以上に大きい画像をそのまま貼らない
  • 圧縮対象を、選択画像だけにするか文書全体にするか決める
  • UI の文字が読めなくなる圧縮は避ける

Word での手順

  1. 画像を選択する
  2. [図の形式] > [画像の圧縮] を開く
  3. この画像だけに適用する か、文書全体かを選ぶ
  4. 図のトリミング部分を削除する をオンにする
  5. 出力解像度を用途に応じて調整する(参考: 4, 5)

運用上の注意

  • トリミングしただけでは、元の領域がファイルに残ることがある
  • 個人名、メールアドレス、社内 URL、顧客情報、検証データなどが映っていないかを確認する
  • 迷うなら、元画像を別で保管し、配布用ファイルでは削除済みにする

特にスクリーンショット中心のマニュアルでは、機密情報の映り込み対策ファイルサイズ管理 はセットで考えたほうが安全です。

5.8 アクセシビリティを落とさない

画像・図が増えるほど、アクセシビリティの差が出ます。
ここで最低限やっておきたいのが、代替テキストアクセシビリティ チェック です。

代替テキストの基本

  • 情報を持つ図には代替テキストを付ける
  • 装飾目的だけの図は装飾としてマークする
  • 画像 スクリーンショット のような曖昧な説明で終わらせない
  • 内容だけでなく 目的 を短く伝える
  • 1 ~ 2 文程度にまとめる(参考: 12, 13)

  • 悪い例: 設定画面の画像
  • 良い例: 通知設定画面。右上の [配信条件] からメール通知の有効/無効を切り替える。

フローチャートや複雑な図では、「図が何を結論づけているのか」まで書いたほうが伝わります(参考: 13)。

設定方法

  1. 画像を右クリックして [代替テキストの表示] を開く
  2. 情報を持つ図なら説明を入れる
  3. 装飾だけなら [装飾としてマーク] を使う(参考: 12, 13)

最後の確認

  1. [校閲] > [アクセシビリティ チェック] を開く
  2. エラー、警告、ヒントを確認する
  3. 画像関連の問題を修正する
  4. PDF 化前にもう一度確認する(参考: 14, 15)

見た目だけ整っていても、アクセシビリティが悪い文書は配布品質としては不十分です。
マニュアルは長く使われる文書なので、ここは最初から運用に入れておくと後で楽になります。

6. テンプレートに固定したいルール

画像・図の品質は、個人のセンスより ルールの固定 で安定します。
テンプレートやチーム標準として、少なくとも次は決めておくと運用しやすくなります。

6.1 画像の挿入ルール

  • 既定の挿入方法は [行内]
  • 図の段落は中央揃え
  • 余白は空行ではなく段落間隔で作る

6.2 サイズのルール

  • フル幅図: 画面全体や大きなフロー
  • 中サイズ図: ダイアログや設定ウィンドウ
  • 小サイズ図: アイコンや一部 UI

この 3 パターンだけでも決めておくと、文書全体の印象が揃います。

6.3 図番号のルール

  • すべてキャプション機能で採番
  • 文書に章番号があるなら、図番号にも章番号を含める
  • 図は下、表は上、など位置ルールを固定する
    ※どちらを採るにせよ、文書全体で統一することが重要

6.4 本文参照のルール

  • 上図 下図 は使わない
  • 図 2-3 のように図番号で参照する
  • 参照は相互参照で挿入する

6.5 注釈図のルール

  • 注釈が多い図は、なるべく完成図 1 枚にしてから挿入する
  • Word 内で組む場合は、グループ化まで行う
  • before / after は 2 枚別管理より 1 枚の比較図を優先する

6.6 配布品質のルール

  • 配布前にフィールド更新
  • 画像圧縮とトリミング領域削除を確認
  • 代替テキストか装飾マークのどちらかを設定
  • アクセシビリティ チェックを通す

7. 配布前チェックリスト

最後に、画像・図まわりだけに絞ったチェックリストです。

  • 画像は初出の直後に置かれているか
  • 画面全体を不要に貼っていないか
  • 画像を縦横に引き伸ばしていないか
  • 図番号は手打ちではなく自動採番か
  • 本文からの参照は相互参照か
  • 上図 下図 の表現が残っていないか
  • 図とキャプションが別ページに分かれていないか
  • 浮動配置の画像でアンカー位置を確認したか
  • トリミングしただけで終わっていないか
  • 個人情報や機密情報が映り込んでいないか
  • 画像の容量が過剰でないか
  • 代替テキストまたは装飾マークを設定したか
  • アクセシビリティ チェックを実行したか
  • Ctrl + AF9 でフィールド更新を済ませたか

8. まとめ

Word で画像や図を扱うときに大事なのは、凝ったレイアウトを作ることではありません。
崩れにくく、改訂しやすく、読み手が迷わない状態にすること です。

その意味で、マニュアルでは次の方針がかなり強いです。

  • まずは 行内
  • 画像は初出の直後
  • スクリーンショットは切り抜いて焦点化
  • 図番号と参照は自動化
  • 回り込みは例外運用
  • 配布前に容量とアクセシビリティを確認

画像は分かりやすさを上げるためのものですが、扱い方が雑だと、逆に文書全体の品質を落とします。
逆に、このあたりをルール化できると、Word でもかなり安定したマニュアル運用ができます。

前回の基本編で整理した 見出し、番号、相互参照、改ページ のルールと組み合わせると、
「読むための文書」ではなく、保守できるマニュアル にかなり近づきます。

9. 参考資料

  1. 画像の既定のテキスト 折り返し設定を変更する - Microsoft サポート
  2. Word で画像の周囲で文字列を折り返す - Microsoft サポート
  3. テキストを折り返し、画像をWordに移動する - Microsoft サポート
  4. Office で図をトリミングする - Microsoft サポート
  5. Microsoft Office の画像のファイル サイズを小さくする - Microsoft サポート
  6. Word で図表番号を追加、書式設定、または削除する - Microsoft サポート
  7. 図のキャプションを挿入する - Microsoft サポート
  8. Word で図表番号に章番号を追加する - Microsoft サポート
  9. クロス リファレンスを作成する - Microsoft サポート
  10. フィールドを更新する - Microsoft サポート
  11. Wordでテキストを一緒に保持する - Microsoft サポート
  12. 図形、図、グラフ、SmartArt グラフィック、またはその他のオブジェクトに代替テキストを追加する - Microsoft サポート
  13. 有効な代替テキストを作成するために知っておくべきこと - Microsoft サポート
  14. アクセシビリティ チェックを使用してアクセシビリティを改善する - Microsoft サポート
  15. アクセシビリティ チェックのルール - Microsoft サポート
  16. Wordで画像、図形、ワードアート、その他のオブジェクトを揃える - Microsoft サポート
  17. Word内の図形、図、またはその他のオブジェクトをグループ化する - Microsoft サポート

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