WindowsアプリのUX設計ガイド
最初に決めるべき5つのこと
見た目の「モダンさ」より先に、以下を決める。
- 誰が使うか(初心者、熟練者、混在)
- どこで使うか(机上、現場、工場、受付)
- 何で操作するか(キーボード、マウス、タッチ)
- どれくらい使うか(初回中心、毎日、1日中)
- ミスしたときのコストは何か(軽い、重い、危険、監査対象)
用途別の判断表
| 用途 | 最優先すること | 向くUI | 避けたいこと |
|---|---|---|---|
| ToCユーティリティ | 迷わず始められる、設定が少ない | 単一画面、浅い導線 | 情報過多、専門用語だらけ |
| ToB事務入力 | 継続効率、キーボード完結 | リスト/詳細、ショートカット | 余白の多いカードUI、操作ごとのダイアログ |
| ToB監視・運用 | 異常を見逃さない、安全な操作 | ダッシュボード+ドリルダウン | 色だけで状態を伝える、危険操作が軽い見た目 |
| 現場端末・キオスク | 見やすさ、大きな操作対象 | タッチ前提の単機能画面 | 小さいボタン、hover前提 |
| 専門家向けツール | 情報密度、ショートカット | タブ、複数ペイン | 機能を深い階層に隠す |
| 常駐ツール | 邪魔しない、すぐ開ける | トレイメニュー、最小画面 | 通知の連打、常に前面 |
ToCユーティリティ向け
- 起動してすぐ使えること
- 主要操作は1〜2個に絞る
- 空状態が不親切でないこと
- 設定を最初から全部見せない
ただし、写真編集や動画編集、投資分析など上級者向けツールでは話が違う。効率と情報密度を優先する。
ToB事務入力向け
- キーボードだけで全機能へ到達できる
- 一覧と明細を往復しやすい
- フィルタや並び替えを保持できる
- エラーはダイアログでなく画面内に出す
ナビゲーションは「左に機能分類、中央に一覧、右に明細」が素直。
ToB監視・運用向け
- 異常の有無が一目で分かる
- 状態は色+文字+アイコン+時刻で表す(色だけにしない)
- 危険操作のダイアログは具体的なボタン文言(「OK」ではなく「削除」)
- ログや履歴へすぐ飛べる
現場端末向け
- ボタンは十分大きく
- 1画面1目的に近づける
- hoverに頼らない(タッチにはhoverがない)
- 入力は自由入力より選択・スキャンに寄せる
ToBだから高密度が正解ではないことに注意。
専門家向けツール
- 情報密度を高く
- 高頻度操作は近く、補助機能はやや奥に
- レイアウトを保存できる
- Undo/Redoを充実させる
初心者に優しくしようとして全部をメニューに隠すと、熟練者が疲れる。
ナビゲーションの選び方
| パターン | 向く状況 | 典型用途 |
|---|---|---|
| 単一画面 | 主目的が1つ | 小さなツール、設定補助 |
| 上部ナビ | 同じレベルのページが並ぶ | 小〜中規模設定画面 |
| 左側ナビ | 最上位項目が多い | ToB管理画面、監視 |
| リスト/詳細 | 項目を切り替えながら詳細表示 | 受信箱、データ入力 |
| タブ | 複数ドキュメントを同時に開く | エディタ、分析ツール |
最低限外したくないUX項目
- キーボードで完結するか - Tab順、フォーカス可視化、Enter/Space対応
- 文字拡大やコントラストテーマで崩れないか - ピクセル固定を避ける
- ダイアログを乱用しない - フィールド単位のエラーはインライン表示
- 重要コマンドに複数の経路を用意 - ボタン、コンテキストメニュー、ショートカット
- 事故っても戻れるか - Undo、自動保存、編集中状態の保持
よくある設計ミス
- ToBだから高密度、ToCだから軽く、と思い込む
- hover前提の操作を作る(タッチで使えない)
- 色だけで状態を伝える
- 検証エラーを全部ダイアログにする
- 固定サイズのレイアウトで作る
着手前に決める8問
- 誰が使うか → 情報密度と用語が決まる
- どこで使うか → ボタンサイズと入力方式が決まる
- 何で操作するか → Tab順とショートカットが決まる
- どれくらい使うか → 発見しやすさと効率のどちらを優先するか
- ミスのコストは → 確認導線とUndoが必要か
- 1画面の情報量は → カード型か一覧中心か
- カスタマイズは必要か → 列選択やレイアウト保存
- アクセシビリティ要件は → 文字拡大、コントラスト、読み上げ
まとめ
UXは装飾ではなく、「その人が、その場所で、その入力方式で、止まらず使えるか」 の設計。
- 標準コントロールを素直に使う
- キーボードで主要操作が完結する
- タッチや支援技術で詰まらない
- 重要コマンドに複数の経路を用意する
- 事故っても戻れる
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